【短編】シャーペン
最初は"なに?"って思った。
そんな波留の手には一つの赤色のシャーペンがあった。
私は、わけもわからずその赤色のシャーペンをそっと受けとった。
これでいいんだよね?
「そのシャーペン手痛くならねぇから……、書いてん?」
私は波留の言った通りにシャーペンで文字を書いてみた。
「書きやすい…」
私は思わず呟いた。
だって本当に書きやすかったんだもん。
お世辞じゃなく本当に。
「だろ?」
「うん。ありがとう」
私はそのシャーペンを波留に返した。
でも、波留はなかなか受けとろうとしない。
波留?
波留は小さなため息を漏らした。
「使えよ…」