約束
少し歩くと教室の前に着いた。
麗奈が戸を開けた瞬間“何か”が麗奈に抱きついた。
「麗奈ちゃん、おはよう!今日もかわいいね!」
「おはよう、架伊くん」
ふんわりとした空気が二人の間にできそうだったので俺はすかさず二人を“べりっ”とひき離した。
「なんだよ、理緒」
この男―如月 架伊(キサラギ カイ)―は毎日毎日毎日毎日麗奈に抱きついてくるヤツだ。
中学からずっと同じクラスでもう腐れ縁というやつだ。
成績は中の上だが、スポーツ万能でサッカー部のレギュラーなのでとにかくモテる。
まぁそんな話はどうでもいいとして…、
「麗奈に抱きつくなといつも言ってるだろう!!」
「麗奈ちゃんは別に理緒の彼女でもないんだからいいじゃん」
この会話をきっかけにいつもの言い合いが始まった。