先生が最初で最後だよ
「………………これ、癌の薬だろ。
抗がん剤。」
神里の声が震えている。
理奈の視界が急に狭くなった。
まるで、医師に初めて死ぬ事を宣告された時のようだった。
「………………なんで?それを?」
「鞄取ったら、落ちて来たんだ。
………………あのさッ………………」
「癌ですよ。
乳癌。
バレてしまいましたね。」
手が震える。
腕には包帯が巻かれていた。
多分、彼がしてくれたんだろう。
「………………死ぬの………………か?」
頭がグラグラする。
鈍器で殴られたかのよいに。