Secret Lover~我慢できない!~
1
季節は春。
すっかり陽射しは暖かくなり、モノクロだった風景はいつの間にか淡く色づき始めている。
ゆらゆらとはためくカーテンが頬に当たり、擽ったさのあまり俺、速水圭は目を覚ました。
「ん…もう10時か…」
4月半ばの休日。
今日は目覚ましをかけなかったので、久々にぐっすり眠れた。
新しいクラスでの生活に慣れ始めたものの、起きる時間だけはまだ春休みの感覚が抜け切らない。
寮での生活ももう3年目。
自己管理はかなりできるようになったつもりだが、休みボケには勝てないようだ。
ぼんやりしている思考を覚醒させようと、冷蔵庫から野菜ジュースを取り出し、勢い良く喉に流し込む。
やっぱり朝はこれに限る。
もう一杯コップに注ぎ、今度は味わって飲みながらテレビの電源を点けた。
いきなりワイドショーの出演者達の騒がしい声が大音量で部屋中に響く。
昨夜、音がでかい方が臨場感が出るだろうという単純な発想で、音量を上げて派手なアクション映画のDVDを観た後そのまま切ってしまったのだ。
「…!…うるせえ…」
芸能人のゴシップを自分のことのように自慢気にまくしたてる声は、寝起きの頭には騒音でしか無く、俺は顔をしかめながら慌てて音量を下げた。
「……んぅ…?うるさい…」
ソファに腰掛けてのんびり残りのジュースを飲んでいると、ロフトの上から小さく唸る声がした。
「蓮、おはよ」
上に向かって優しく声をかけると、ひょっこりと小さな頭が見えた。
「おはよ…ございます…」
寝起きで少し掠れた声は、男にしては高く澄んでいる。
声の主はもそもそと小動物のように、ロフトの梯子をゆっくり降りてきた。
柔らかい栗色の髪は男にしては少し長めで、寝癖で所々跳ねている。
眠そうに擦る瞳は零れそうに大きく、髪よりも少し深い茶色。
それを縁取る睫毛はとても長く、少し伏せられた瞳に影を落とす。
スッと通った鼻筋の下にはふっくらとした桜色の唇。
透けるように白い肌。
身体の線はきちんと飯を食っているのかと不安になる程細い。
高校男子ならではのむさ苦しさの欠片もない。
…こいつこそが俺の相部屋の後輩であり、可愛い恋人でもある結城蓮だ。
すっかり陽射しは暖かくなり、モノクロだった風景はいつの間にか淡く色づき始めている。
ゆらゆらとはためくカーテンが頬に当たり、擽ったさのあまり俺、速水圭は目を覚ました。
「ん…もう10時か…」
4月半ばの休日。
今日は目覚ましをかけなかったので、久々にぐっすり眠れた。
新しいクラスでの生活に慣れ始めたものの、起きる時間だけはまだ春休みの感覚が抜け切らない。
寮での生活ももう3年目。
自己管理はかなりできるようになったつもりだが、休みボケには勝てないようだ。
ぼんやりしている思考を覚醒させようと、冷蔵庫から野菜ジュースを取り出し、勢い良く喉に流し込む。
やっぱり朝はこれに限る。
もう一杯コップに注ぎ、今度は味わって飲みながらテレビの電源を点けた。
いきなりワイドショーの出演者達の騒がしい声が大音量で部屋中に響く。
昨夜、音がでかい方が臨場感が出るだろうという単純な発想で、音量を上げて派手なアクション映画のDVDを観た後そのまま切ってしまったのだ。
「…!…うるせえ…」
芸能人のゴシップを自分のことのように自慢気にまくしたてる声は、寝起きの頭には騒音でしか無く、俺は顔をしかめながら慌てて音量を下げた。
「……んぅ…?うるさい…」
ソファに腰掛けてのんびり残りのジュースを飲んでいると、ロフトの上から小さく唸る声がした。
「蓮、おはよ」
上に向かって優しく声をかけると、ひょっこりと小さな頭が見えた。
「おはよ…ございます…」
寝起きで少し掠れた声は、男にしては高く澄んでいる。
声の主はもそもそと小動物のように、ロフトの梯子をゆっくり降りてきた。
柔らかい栗色の髪は男にしては少し長めで、寝癖で所々跳ねている。
眠そうに擦る瞳は零れそうに大きく、髪よりも少し深い茶色。
それを縁取る睫毛はとても長く、少し伏せられた瞳に影を落とす。
スッと通った鼻筋の下にはふっくらとした桜色の唇。
透けるように白い肌。
身体の線はきちんと飯を食っているのかと不安になる程細い。
高校男子ならではのむさ苦しさの欠片もない。
…こいつこそが俺の相部屋の後輩であり、可愛い恋人でもある結城蓮だ。