見て見ぬふり。
――あの人と出会ったのは、半年ぐらい

前だったかな。

確か、笹井という苗字の女の子だった。

クラスの人気者で、顔もすごくかわいくて。

みんなの憧れの存在だった笹井さん。

誰にでも優しかった。

だから、あんなの普通だったんだよね。



――

あの日

何も言わず手を差し伸べた笹井さん。

あたしは、その瞬間を教室でしっかりと

目に焼き付けた。

そして、あまり関わりもなく、無関心

だった笹井さんの事を尊敬してる

眼差しで見るようになった。

"あたしもそんなひとになりたい"

いつもそう思っていた。

それが、夢だった。

でも――

それは、いつ叶う夢なのかな。

一生叶わないのな?

どうだろう。

――笹井さんみたいな

心のキレイな人になりたい――

周りに輝いた目で見られたい――

だからあたしは

心に決めた。
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