草食系俺様男子
春、卒業そして
『守嶋しの』
「はい」
「卒業おめでとう」
私は今、中学の校長先生から卒業証書を受け取ったばかりの守嶋しの、15歳。
中学3年間では、特に刺激的な恋愛をしたわけでもなく、ただ友達と日々をなんとなく過ごしていただけ。
「じの〜!」
「ん?あ、莉子!あはは、もうボロボロじゃん(笑)」
卒業式が終わり、人が集まる校庭で私に声をかけてきたのは親友の長野莉子。
涙もろい彼女を見れば、涙と鼻水で顔はボロボロ。
「だあっでぇ〜!!(泣)」
「ほーら、ハンカチ」
…それに、なんとなく付き合っていた彼氏にはつい昨日フラれたばかり。
なんでも今日、本当に好きな子に告白して第2ボタンを渡すらしい。
別に、本当に彼のことが好きなわけじゃなかったからショックなんて受けるはずもなく。
ただ付き合っていた4ヶ月間を無駄にしたという思いでいっぱい。
その好きな子にフラれればいいと、本気でそう思う。
「明日合格発表だね」
「そうだね。しのも私も、東高受かってればいいね」
「うん」
ようやく泣き止んだ莉子は、不安でいっぱいな顔をしてる。
私も。
本当はすごく不安。