草食系俺様男子
ボーッと今吉君を見ていると、その視線に気付いたのか今吉君もこちらを見て、目が合ってしまった。
でも。
「…へ」
すぐにフイッとそっぽを向かれてしまった。
…そうだよね。
覚えてるわけないよね…
なんだか悲しくなって、自分の座席を確認しようとした。
「ねえ、」
「へっ!?」
誰かに突然声をかけられて、びっくりして思いっ切り振り向いたら、そこには今吉君の綺麗な顔がドアップであって。
「うわぁ!」
そのあまりにも近い距離に、私はびっくりして声をあげてしまった。
なんで今吉君は私に…
「あ、あのさ。合格発表の日、俺手踏んじゃったよね?」
「え…、うん!」
嘘。本当は覚えててくれたんだ…。
「やっぱり!髪の毛短くなって雰囲気違ったけど、顔はちゃんとあの時の子だったから」
「……」
そう言ってニコッと微笑んだ。
キュン
私の心臓はそう音を立てて跳ねた。
「同じクラスとか超偶然!これからよろしく!」
そうして差し出された手を、私は静かに握り返した。