心失恋
ひたすら泣いた私は落ち着いたらまた話すと伝え、電話を切った。
クヨクヨしててもしょうがない!
前向きに考えよう。
そんな気持ちで、玄関の扉をあけた。
飛び込んできたのは母の震えた背中だった。
今まで母の涙を見た事がなかった私は声をかけられなかった。
母は私にきずく事なく、ただひたすら泣いていた。
何であの子なの?
かわれるものなら私がかわってあげたい。
そんな、自分を責める言葉と共に母は涙を流し続けていた。
私は黙って自分の部屋にいき、ただ聞こえてくる母の泣く声を受け止めようとうずくまる事しかできなかった。
そして強く自分に言い聞かせた。
[辛いのは自分だけぢゃない。うちがクヨクヨしてたら親が悲しむ。
笑っていよう]
次の日の朝
目を腫らした母が私に明るく話し掛けてきた。
私も昨日の事には触れず、前向きに入院の話をしていた。
親子にしかわからない、お互いの気持ちをくみとるかのように、笑いあって話していた。
母に反抗していた私も、病気がきっかけで、普通に会話ができた。
かえってよかったのかもしれない。