勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
それでやっとおあずけの意味がわかった。
三成が触れてくれなかったのも、キスをしてくれなかったのも薬を飲んでないから?
花饅頭もおやつの為じゃなく薬の後のご褒美で置いてあったんだ。
「薬を飲まねば紫衣の望みは叶えてやれないな。」
掌の薬をジッと見つめたまま考えていた私にかけられたのは三成のからかうような声で、
「さっきのおあずけもこの為だったんですね。」
私は恨めしそうに言葉を返した。
「姫様、どうぞ。」
不満をあからさまに態度に出すのに椿さんは普段と変わらずマイペースで、それでいて強引に私の前に白湯の入った湯飲みを差し出したまま優しい微笑みを浮かべる。
だけど彼の瞳は私をジッと見据えていて、強く光っているから、
「ちっとも優しくなんて感じないんだから!」
悪態をついて湯飲みを受け取り、勢いで薬を飲んだ。
「苦いっ!」
顔を歪める私の目の前には花饅頭。
「よくできました。」
椿さんの掌の上にちょこんとのっけられた花饅頭が私の目の前に差し出された。
なんか…。
子供扱いされてるよね?