勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
さっきの騒ぎが嘘のように朱里さんが準備してくれたお茶とお菓子を前にして穏やかに談笑している三成達。
集まるのは何か大事な相談があるに違いない。
そして私にも関わりがある話だということも部屋に皆が訪ねて来たという事で理解出来ている。
それは多分、宴のことだろうなと考えていると左近さんが口を開いた。
「宴についてですが…。」
左近さんには珍しく遠慮がちな言葉。
「もう済ませたではないか、楽しい宴だった。」
三成は左近さんにピシャリと言い放ち、言葉を遮った。
眉を下げて困った表情の左近さんは大きく溜め息を吐き出して、
「殿、…。」
「紫衣の全快祝いの宴は今日に済ませたではないか!」
厳しい口調で更に左近さんの言葉を遮る。
三成はわかって言ってるんだよね?
それを左近さんも理解しているから困ってるんだ。
「恐れながら申し上げます。」
三成を前に深く頭を下げながら口を開いた桔梗さん。
だけど三成は私にお茶菓子を進めながら桔梗さんの方に視線を向けることはなかった。
ずっと床に額をすり付けるようにして頭を下げている桔梗さん。
その姿がとっても気の毒で、三成の態度に理由があるのだと思いながらも胸がチクチクと痛んだ。
口を出すべきではない、解っているのに私は我慢できなくてそっと三成の手を取って尋ねた。
「宴とは重家の為の宴の事ではないのですか?」