勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
みんなが息を飲むのを感じた。
散々三成がはぐらかしていた話を私が口にする事で部屋の空気が一瞬で張りつめたものになった。
だけど三成に詰め寄るなんて出来ないみんなに変わって言いにくいことを口にするのは私の役目だよね?
そりゃ私だって怖いけど、みんなよりは言いやすいと思うから…。
「重家御披露目の宴を催すと言ってませんでしたか?」
「それは誰が言ったのだ。」
厳しい三成の口調に私は必死に考えた。
清正に宴に招待するように詰め寄られていると言ったのは…
三成ではない!!
マズい事を言ったという思いから掌にじわりと汗が滲んだ。
だけど三成がいる前で紅葉さんも宴の話を私にしたのかと尋ねてたよね?
「私の聞き間違いでしょうか…。
今日の宴とは別にお仕事先の方をご招待して宴をするのかと思い込んでいました。」
勘違いですねと笑ってみせる私に三成は大きなため息を吐き出した。
なぜ三成が今、宴の話をはぐらかすのか理由が解らないから話を終わらせた方が賢明だと考えた。
「奥方様に申し上げたのは私です。
殿が清正様に屋敷に招待するように言われていると話をしたのは私なんです。」
なのに私の気持ちを無視するかのように、三成の前にずっとひれ伏す姿勢をとっていた桔梗さんが顔を上げて三成に話をし始めて、
「そんなこと聞いてないよ?」
私は咄嗟に嘘をついた。
桔梗さんったら正直すぎるよ…。
折角誤魔化そうとしているのにバラしちゃったらダメじゃない!
口には出来ないので心の中で桔梗さんにツッコミながら次の展開に頭を巡らせた。
だけど三成は諦めたように一つ大きくため息を吐き出して、
「もうよい。宴を催さなくてはならないと俺も解っている。
解っているが………。」
面倒だと心底嫌そうに顔を歪めながら言葉を吐き出した。