勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
結局、宴の話は進まないままにみんなは部屋から出て行き、私と三成だけが残った。
「宴が面倒ですか?」
わかっているのに口にして私も性格が悪いなって思いながらも問いかけると、
「紫衣は俺に何を言わせたい?」
私の言いたいことなんてわかってるはずなのに意地悪な問いかけを返してきた。
はぐらかすということにかけては三成の方が私より上手で、
「では、正当方でお話しますけど、気を悪くしないで下さいね。」
前置きをしっかりとしてから本題に触れようと大きく息を吸い込んだ瞬間に私の体は三成に組み敷かれていた。
「あれ?」
「どうした?」
両手は頭の上で三成に固定され、体の上にはピッタリと彼の体が重なっていて身動きがとれない。
今の状態って話し合いをするような、そんな体制じゃないよ?
「話を聞いていただきたいのです。」
意を決して話しかけても、
「どうぞ。」
私を上から見下ろすように顔を合わせる三成はその体制を崩さずにサラリと言葉を返してくる。
正直、視線をどこに向けていいのか戸惑うくらいに彼の顔が近くにあり、ピッタリ重なった体から彼の体温を感じて平常心ていれるわけのない私はうるさいくらいに動く心臓を静めたくて話をするどころじゃない。
「あの…座って話を…」したいって続くはずの言葉を遮るように三成は、
「このままがよい。」
ピシャリと言い放つ。
このままでではなくこのままがと言う三成の言葉が彼らしくなくてちょっぴりおかしかった。
だから体制のことよりも宴のことよりも、時折見せてくれる彼の少し子供っぽい言葉や仕草をもっと見たいという気持ちが何よりも大きくなった私は
「このままがよいのですか?」
オウム返しのように彼に問いかけた。