勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「何が言いたいのだ?」
怪訝な表情を浮かべる三成は普段通り冷静沈着な三成で、感情を表すのが上手ではない彼の姿に戻っていて、
「このままで、ではなくあなたがこのままがって言ったのが嬉しかったのです。」
自分の感情を見せる言葉をもっと聞きたくて種明かしをしてみた。
「意味がわからぬが…」
やっぱり三成は怪訝な表情を浮かべたまま私に言葉を返した。
「このままでとこのままがでは私は違って聞こえるのですよ。」
「でとがの違いで紫衣にはどのように聞こえるのだ?」
「このままでと言われるよりこのままがと言われるのでは強さが違います。
あなたが今の体制を強く望んでる風に聞こえたのですが、違いますか?」
「………。」
やっぱり困惑顔の三成にちょっぴり自信を失って、恥ずかしくなった。
何も言ってくれないから恥ずかしさはどんどん広がって不安になる。
もしかして、どうでもいいことを大袈裟に捉えて話した私を呆れてるのかな?
馬鹿な奴だって思われちゃったかな?
どんどん不安が広がって三成の顔をまともに見れなくて私を見下ろす三成から顔を横に背けた。
「なぜ俺を見ない?」
「………。」
「俺を見ろ。」
「…………。」
「いうことを聞けぬのか?俺に従わぬのか?」
「そんなことっ…!」
三成の強い声に驚き顔を正面に向けると彼は私の肩を手で支えてゴロリと転がって体制を変えた。
三成に組み敷かれていた私が彼の体の上に乗るという体制になり私が今度は三成を見下ろすように彼と視線が交わった。
「あのっ!」
「これが一番いい。
紫衣が俺の体の上で転がっているのが一番落ち着くのだよ。」
ニッコリと笑う三成はきっと私しか知らない彼。
「私はドキドキして緊張して…落ち着きません。」
困ったように話す私をギュッと抱きしめて彼はくすくすと声を立てて笑った。