勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「紫衣には適わないな。」
恥ずかしさから少しモジモジと落ちつきなく体を動かす私の背中を撫でる三成。
それはとても優しくて、彼が適わないという言葉も悪い意味のものではないというのが伝わった。
「紫衣だけが俺の本当を見抜いてしまう。」
「いいえ、そんなことはありません。」
「紫衣だけなのだよ。」
首を横に振る私を優しく見つめる三成。
その瞳は優しく、だけど寂しい。
「あなたはとても優しい人です。
なのにあなたの本当はどうしてか周りに見えないのでしょう。
だけど、左近さんや朱里さん、紅葉さんも桔梗さんも椿さん達にはあなたの本当がちゃんと見えてるわ。」
「…………。」
「あなたの本当を知る人はみんなとてもあたたかいわ。」
「……………。」
「ここは、とてもあたたかいわ。
あなたがいるから…。
あなたが皆を愛してるから、そしてあなたも皆に愛されてるから…。
だからとてもあたたかいの。」
私の言葉に驚いたような表情を浮かべる三成に微笑んで見せてから彼の胸に頬を寄せた。
「適わぬよ…。」
小さな呟きを漏らして三成は私の頭をゆっくりと撫でつけた。
「宴を開こう。重家の為だけではない、紫衣の為にも…。」