勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「姫様が何も出来ないとかそういう事ではないのです。」
「まぁ出来てるかって言われたら、そこも問題なんだけどな…。」
「うるさいですよ、紅葉。」
「ちぇっ…。」
「おわかり頂けましたか?姫様。」
「これでわからなかったら救いようのない阿呆だね。」
「黙りなさい!紅葉。」
「ちぇっ…。」
桔梗さんをずっと茶化すように相槌を入れる紅葉さん、そんな紅葉さんの言葉をピシャリと遮る桔梗さん。
その二人のやりとりが、私を慰める為のものだっていうことが痛いほど伝わって、
「わかった。」
私は小さく頷きながら言葉を発した。
きっとお礼を言っても紅葉さんは悪態をつくのはわかっている。
桔梗さんだって惚けるだろう。
だから二人の気持ちに心の中でだけ小さくありがとうって告げたんだ。
「安心できたらのならもう眠れ。」
タイミングを見計らったように掛けられた紅葉さんの言葉。
薬を飲んで、いつもなら直ぐに眠りに落ちるのに話をしていたからか興奮していたからか眠気は全く感じなかったけど、
「うん…。」
桔梗さんの腕の中で感じるぬくもりと紅葉さんの優しい声に誘われるように瞼が重くなってきて、
「おやすみなさい姫様。」
「早く寝ろ、阿呆紫衣。」
二人の穏やかな声を最後に私は眠りに落ちた。