勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
重家を産んでから体調を崩しがちだった私の部屋に夜遅く帰った三成が来るのはとても珍しいことだと思っていたけど、それは私が薬でぐっすりと眠っていて気付かなかっただけなのかもしれないって思ったのは、
「起こしてしまったか?」
私の眠る布団の横に座っている三成の姿を見つけたからだった。
「おかえりなさい。」
慌てて起き上がろうとする私の肩にそっと触れて、
「起きなくてもよい。」
紫衣の顔を見に来ただけだって続く言葉に、私は勢いよく起き上がって三成の胸に飛び込んだ。
着物に焚きしめられた三成の爽やかな香りを胸一杯に吸い込むととても気持ちが落ち着くのがわかる。
「いつも眠ってばかりでごめんなさい。
本当ならお出迎えしなきゃいけないのに…。」
しょんぼりと肩を落として話しかけると三成は、
「そんなことはどうでもよい。
今は特に忙しく、毎日が遅くまで帰れぬ状態だ。紫衣は自分の体の事だけを考えておればよいのだよ。」
穏やかで優しい三成の言葉に私は彼の胸に頬を寄せてこくりと頷くことで応えた。
「起こしてすまなかった。」
ギュッと背中に回った三成の腕に力が入って抱きしめられた後、すぐに彼の手が肩にのせられて体を放された。
もっと触れていたい。
もっとぬくもりを感じていたい。
もっともっと…。