勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「我慢しているのだよ。」
だけど彼の口から飛び出した言葉は私の想像するものとは違っていた。
「我慢?」
だから聞き返すことしかできずに、首を傾げる。
そんな私の肩を掴んで顔を合わす三成。
彼の吐息がかかるほど近くから見つめられて胸がドキドキとうるさく騒ぎ出す。
きっと顔も真っ赤に違いない。
だって沸騰したみたいに急に頬が熱いんだ。
「紫衣が清正に酌をする姿を想像するだけでイライラする。
それを伝えると紫衣は今のように可愛い表情を浮かべるだろう?」
そう言って私から離れようとする三成の頬に両手を添えてグイっと引き寄せた。
「それがどうして我慢になるのですか?」
三成の言いたいことがさっぱりわからない、だけど我慢なんてしてほしくない。
私だってこんな風に三成を困らせたり我儘を言ったりして我慢していないんだもの。
「紫衣の寝顔を見るだけでも我慢が必要なのだよ。」
三成は私の耳元で囁くように、
「何度も襲ってやろうと思った。」
甘く、だけど強く囁いた。
「襲う??」
驚いて言葉を発した私はその瞬間、布団の上に押し倒された状態になり、
「煽ったのは紫衣だから...。」
私の上にピッタリと体を重ねる三成の真剣な眼差しに言葉を失った。
ずっと彼は私の体を気にかけてくれて、体を重ねることを我慢してくれていたのだ。
そんなことに気がつかない私は彼の妻としてどうなの?
それに...。
私も彼にずっと触れたかった、触れられたかったんだよ。
ゆっくりと近づく彼の唇は私の唇に優しく触れた。
まるで鳥の羽のようにふわりと降ってくる彼のキス。
瞼を閉じて彼のすべてを受け入れる準備をする私。
「我慢なんてしないでください。私はあなたの妻なのですよ。
心はいつも同じなのです。
私もずっとあなたに触れたかった、あなたに触れられたかったのです。」