勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「飲み過ぎたかな?眠気が襲ってきた。」
突然の行動にびっくりして彼を見つめる私にニッコリと笑いかける。
「記念すべき夜に飲み過ぎるなんて男としては失態だな。」
普段とは逆に体をくるりと回転させて後ろ歩きを始めるのは嶋田さんで、
「うっせぇよ!」
佐和さんは私と繋いでいない手を犬を追い払うように振りながら嶋田さんに言葉を返した。
「使えねぇ男になるんじゃねえの?」
「俺のジュニアはそんなにヤワじゃねぇよ!」
「そうだっけ?」
「お前と一緒にすんじゃねぇよ!」
「俺のジュニアを知らねぇお前に言われたかねぇよ。」
佐和さんと嶋田さんの弾む会話を聞きながら私は少しだけ安心できた。
普段と変わらない2人。
重苦しい空気が薄くなっていく。
暗闇にほんの少し明かりが差した気がした。
その後も佐和さんと嶋田さんの言い合う声を聞きながら私達は足を進めた。
「なんか懐かしく感じるね。」
私の家に着いた頃、ずっと黙っていた芽衣ちゃんが少し安心したように声を出して一番に門をくぐる。
私は鍵を開けなきゃって思って慌てて彼女の後に着いて門をくぐった。