勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
いつもみんなの後ろからついて行く私が家の鍵を開けるためとはいえ先頭に立つことに少し緊張していた。
震える手で鍵を回してドアノブに手を掛け、ドアを開ける前に背中に言葉が刺さった。
「4人仲良く帰省?」
その声に私の背中が凍りつき、振り向く前には芽衣ちゃんの荒げた声が静かな住宅街に響いた。
「アンタには関係ないでしょ!」
ドアノブを握ったまま動けない私の背中を庇うように私の後ろに立つのは一番私を安心させてくれる佐和さん。
ドアと佐和さんに挟まれた状態で私は小さく震えていた。
「親公認の仲ってやつなんだ?」
「アンタには関係ないって言ってるでしょう!」
「紫衣、おかえり。
この家で一緒に過ごした時間が懐かしいよ。」
知らない。
知らない知らない!
私は彼の言葉を聞いて俯いたまま拒否するように首を横に振り続けた。
「図書館の帰り、ここまで送って別れ際キスしたの覚えてる?」
潤んだ瞳がとても色っぽくて放れがたかったんだよって彼の言葉に私の体は更に震えが激しくなった。
怖い!
私じゃない紫衣に話をしている良君の存在が、言葉が怖い!
震える体を抱き締めて、その場に崩れるようにしゃがみ込む私に良君のくすくすと笑う声が聞こえた。
だけど同時に背中に感じるあたたかい体温。
私を背中から包み込むように佐和さんが抱き締めてくれたんだ。