勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「女2人で何怪しい行動取ってんだ?!」
芽衣ちゃんと寄りそってソファーで抱き合う私達の背後から掛けられた声。
慌てて振り向くと嶋田さんがニヤニヤと笑いながら立っていた。
いつの間に部屋に入ってきたの?
「怪しいなんて失礼しちゃうわ。
紫衣と愛を深めてただけよ。」
驚く私とは対照的に芽衣ちゃんは余裕たっぷりな様子で嶋田さんに言葉を返す。
「それは聞き捨てならないな。
紫衣と愛を深めるのは俺だろ?」
嶋田さんの後ろから佐和さんの声が聞こえて、その姿を確認すると彼は両手を広げて私を見つめていた。
「あらら?
ライバルの出現だわ。」
茶化したような芽衣ちゃんの声。
「おいで。」
優しい佐和さんの声。
私はソファーから立ち上がり、吸い寄せられるように佐和さんの胸の中にすっぽりとおさまった。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
彼の胸に頬を寄せて言葉を交わす。
一番大好きで一番安心の出来る私だけの場所。
しばらく抱き合って彼の体温を体中で感じた。
「佐和さんが好きです。」
「知ってるよ。」
「ずっと一緒にいたいです。」
「知ってるよ。」
「もしも住む世界が変わっても放れたくないです。」
「知っている。」
「芽衣ちゃんも嶋田さんもずっと一緒にいたい。」
「わかっている。」
「お父さんもお母さんも、芽衣ちゃんのおじさんもおばさんも…みんなみんな…」
「わかっている、紫衣…何があっても自分の大切な人は変わらない。
俺が変えないから信じろ!」
私を抱きしめる佐和さんの腕に力が込められて、苦しいほどに彼の体温を感じた。