勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
意味深な言葉を耳元で囁かれ、私は一気に体温が上がるのを感じた。
大人になるって、つまり…その…ごにょごにょ講座?
「石野さんに任せておけば大丈夫だから…
だけど、頑張って!」
固まったように動けない私の肩をポンと叩いて芽衣ちゃんはキッチンを出て行く。
見送りをすることなんて頭からスッカリ消えて、呆然と芽衣ちゃんの背中を見送る私に佐和さんの声が掛けられる。
「紫衣、芽衣ちゃん達帰っちまうぞ。」
玄関から聞こえる佐和さんの声にハッとして慌てて移動したけど、
「いいのいいの。
今、紫衣は頭ン中大変な事になってるだろうから…。
お邪魔しました。
また明日ね。」
芽衣ちゃんの声を廊下で聞いて、玄関に着いた時には芽衣ちゃんと嶋田さんの姿はなかった。
「どうした?」
恥ずかしさから俯き、佐和さんの顔を見ることが出来ない私に彼は不思議そうに声を掛ける。
「何も…。」
芽衣ちゃんの言葉を意識しすぎだって解っているけど、素っ気なく佐和さんに言葉を返して、玄関の戸締まりをした後そそくさとキッチンに戻った。