勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
佐和さんに見とれたように視線を外せない私を彼はソファーまで連れてくると肩を抱き寄せてソッと唇を落とした。
額に触れる佐和さんの唇を受け止めて、瞼を閉じると次にその唇は私の唇に重なった。
忙しく考えを巡らせていた脳が佐和さんの口づけでゆっくりとした動きになり、落ち着きを取り戻した私の頭の中は少しずつ正常に戻っていった。
「落ち着いた?」
「はい。」
「紫衣はわかりやすいから見てて飽きないよ。」
「それって誉められてるの?」
「最上の誉め言葉だよ。」
「誉め言葉には聞こえません。」
「誉めてるんだけどな。」
くすくすと笑う佐和さん。
私も彼の体にもたれたまま小さく笑った。
それからは、二人で換気の為に開けられた家中の窓を閉めて戸締まりをキチンと確認した。
そしてリビングから私の部屋に移動してエアコンをつけた状態で佐和さんの寝るための布団を敷いた。
佐和さんも嶋田さんと同じ様にベッドで一緒に眠ると言ったけど、車の運転で疲れているのに狭いベッドで一緒に寝ると疲れが取れないような気がして、強引に布団を持ち込んで敷いてしまった。
しばらくしたらむんむんした熱気も布団から消えるだろう。
エアコンの温度を下げて、満足そうに布団を眺める私に伸びてくる佐和さんの腕。
すっぽりと彼の体の中に閉じ込められるように抱きしめられて、
「紫衣…」
名前を呼ばれたと同時に唇が重なった。
触れるだけの口づけを数回繰り返してから最後に額に口づけを落とす。
「体の準備も整えようか。」
額から離れていく唇からはドキリと胸が大きく跳ねるような言葉が落とされた。