勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
それに佐和さんも私も生まれたまんまの姿で…。
お風呂に入っているのだから当然なんだけど、冷静になるとスゴく恥ずかしい格好だと思った。
だから抱きついたまま離れられないのは佐和さんに私の姿を見られたくないという気持ちからで、
「紫衣?」
困惑を隠せない様子の佐和さんに声を掛けられても、ギュッと抱きつく腕に力を入れて、離れないと主張するしか術がなく、
「どうした?」
次にちょっぴり困ったように佐和さんに尋ねられても黙ったまま何も応えなかった。
「紫衣?」
何度も呼ばれるのに私は頑なに彼の腹部にある自分の腕に力を入れてギュッと抱きつく。
「着痩せするんだな、紫衣って…。
背中に触れる柔らかい感触からすると、結構な弾力と大きさだってわかるんだけど…。
実際のサイズは…うーん…やっぱり背中だけじゃよくわからないなぁ。」
独り言を呟く佐和さん。
だけどその言葉に動揺した私は彼と密着した体を放すように、腕の力を緩めた。
「やっと離れたな。」
振り返る佐和さん。
あんまり放れない私を放れさせるために言ったんだって気付いた時には、私の腹部に佐和さんの腕が回されていて、さっきと逆の体制で今度は私が佐和さんに背中から抱きしめられていた。
「さぁ捕まえた。」
耳元と囁かれる佐和さんの声に肩がびくりと跳ね上がる。
両腕で体を隠すために自分を抱きしめるようにして、ほんの少し体を前に倒してみても、きっと無駄な抵抗で、
「凄くいい眺めなんだけど?」
くすくすと笑う佐和さんが私を抱きしめる力を強くする。
「で?こんな大胆なことしてまで俺を誘惑したかったの?」
「ち…違います。」
「じゃぁ、紫衣は何の為に今ここにいるのか説明してもらおうか。」
佐和さんに質問されるけど、頭の中は恥ずかしさで埋め尽くされていて、言葉がうまく出てこなかった。