勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「佐和さん、背中を向けて下さい。」
説明なんて出来っこない。
だけど、佐和さんの為に私が出来ることをしたかったんだ。
だから、背中を向けてくれた佐和さんにお風呂の椅子に座ってもらって、お母さんが愛用するスポンジにボディソープを泡立てて準備を進める。
「佐和さんの役にたちたかったんです。
甘えてばっかりじゃ嫌だって思ったんです。」
くしゅくしゅと音を立ててスポンジを泡立てながら佐和さんに話しかけた。
少しずつ心も落ち着いて、お風呂に入った時の気持ちや焦りも私の口から素直に飛び出して、「そういうことか…。」
佐和さんからの納得を示す言葉が聞けた頃には体が熱をもってクラクラと目眩がしていた。
夏だからお湯ははってなかった。
だけどシャワーの熱でも室内は十分にむんむんと熱気がこもっていて、
「少しのぼせちゃったみたいだから、もうお話はおしまいにして体を洗わせて下さい。」
佐和さんの背中にスポンジを押し当ててお願いした。
勝手に乱入してのぼせちゃって、手早くすまそうなんて凄く自分勝手だと思うけど、必死過ぎて余裕なんてなかった。
これ以上お風呂の熱気の中に居続けると、本当に動けなくなってもっと佐和さんに迷惑をかけちゃうんじゃないかってことばかり気になっていた。
佐和さんの大きな背中をゆっくりと撫でるようにスポンジを動かす。
滑らかな肌を滑るように動くスポンジ。
「気持ちいいですか?」
背中を洗うことに集中して私は1人満足していた。