勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
だから佐和さんも喜んでくれてるんだって思い込んでいた。
けど、違ったんだ。
それがわかったのは背中を洗い終わってからで、
「終わりました。」
佐和さんに言葉を掛けたと同時に彼は手早くシャワーを浴びて私をすり抜けるようにしながら浴室を出て行った。
私があれこれ考えている間に、佐和さんはもしかしたら全て終わっていたのかもしれない。
私が乱入したから気を使って体を洗わせてくれたの?
そうだとしたら邪魔しただけ?
役にたつどころか時間を取らせてしまっただけなの?
「佐和さん!」
佐和さんに謝らなきゃ!
浴室を飛び出して佐和さんの背中に飛びついた。
「うゎっ!」
バスタオルを片手に今から体を拭おうとしている佐和さんは私が飛びついた衝撃でバランスを崩して手に持っていたバスタオルを床に落としたんだ。
「ごめんなさい!佐和さん!」
「どうした?」
「私、邪魔しちゃって…。
だけど佐和さんの役にたちたかったんです。」
「わかってるよ。」
「ごめんなさい…。」
「紫衣?」
ぶゎっと溢れ出す涙を止めることが出来なくて、涙は頬を伝ってポタポタと雫になって床に落ちていった。
「どうした?」
優しい佐和さんの声に問われて、涙は益々その量を増やしていく。
だけど泣きじゃくる私にバスタオルをかけて佐和さんは脱衣場から出て行ってしまった。