勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
どうして?
どうして佐和さんがいるの?
扉を開けたまま呆然と立ち尽くす私に佐和さんはバスタオルを差し出しながらニッコリと微笑んだ。
「あ…ありがと…」
「どういたしまして。」
とても綺麗な微笑みを浮かべる佐和さんと言葉を交わしてハッと気がついた。
「キャーッッ!」
私、裸だった!
「シーッッ!」
人差し指を唇に押し付けて素早く私をバスタオルでくるんで抱きしめる佐和さん。
私は悲鳴を飲み込んで、だけど言葉は出なくてパクパクと口を金魚みたいに開け閉めしたまま彼の腕に包まれていた。
なんで?
どうして?
佐和さんは私に呆れて浴室を出てったんじゃないの?
どうしてまた私を抱きしめてるの?
心臓がバクバクとありえないくらいの早さで動いて痛みを感じる。
それにどんなに頭をひねってもどうして私が裸でバスタオルにくるまれたまま佐和さんに抱きしめられてるのかわからない。
「紫衣。」
濡れた私の髪を指で掬って唇を寄せる佐和さん。
その仕草がとても色っぽくて佐和さんから視線が外せない。
自分の姿がとても危なげだなんてスッカリ頭から抜け落ちた状態で色香の香る佐和さんに見とれてしまっていた。
「紫衣、ちゃんと体洗った?」
「はい。」
「髪も?」
「洗いました。」
「泣きながら?」
「え?」