勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「待ってるから」
そう言って微笑むと私に背を向けて脱衣場の扉を開いて出て行った。
脱衣場で1人取り残された私は首を傾げながらも手早く着替えをすませてリビングに戻った。
ソファーでくつろぐ佐和さんはドライヤーを片手に私に微笑みかけ、手招きをして私をソファーに座らせるとドライヤーで私の髪を乾かしてくれる。
「佐和さん、私自分でやりますから。」
細くて長い指で丁寧に髪を梳きながらドライヤーをかけたまま佐和さんは、
「お詫びのしるしだからやらせてほしい」
そう言って立ち上がろうとした私の肩を押さえて、そのままドライヤーをかけ続けた。
申し訳ないと思いながらも、彼に従う私。
丁寧な彼の指の動きは正直気持ちよかった。
だからお詫びという彼の言葉の意味はわからないけど、気持ちよさに身を委ねた。
それにしても、佐和さんの謎の行動に私の思考はついていけないまま次に進んでいるような気がする。
確かに入浴中に乱入したり、私の行動も佐和さんにとっては驚くような行動だったかもしれないけど、その後の佐和さんの行動が全く理解が出来なかった。
尋ねてもいいものか、それとも触れずにいる方がいいのか…。
考えをぐるぐると巡らせても、自分の欲求が優先する頭にソッと溜め息が零れた。
聞きたい!
理由を知りたい!
悩んでも応えは変わらなかった。