勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
単純にしか考えられない私は彼に抱きしめられるだけで安心を得て、深く物事を考えられないみたいで、
「喉が渇いたな。」
佐和さんの一言でスッカリ気持ちが切り替えられて冷蔵庫の扉を開けた。
風呂上がりって、やっぱりビールなのかな?
お父さんはお風呂の後のビールが一番美味しいって言ってた。
「佐和さん、何が飲みたいですか?」
「聞きながらも強制的だな?」
扉から顔を覗かせて佐和さんに尋ねる私の手には缶ビールがしっかり握られていて、佐和さんがそれを見て笑いながら言葉を返す。
「ビールはもういいや。コーヒー、買ってあっただろ?」
私の後ろに立つ佐和さんの手が伸びてきて缶ビールは冷蔵庫に逆戻り、その手は冷蔵庫の缶コーヒーを掴んで私の横をすり抜けていった。
「紫衣、おいで。」
テーブルに缶コーヒーを置いて、両手を広げる佐和さん。
冷蔵庫の扉をパタンと閉めて佐和さんの腕の中に飛び込んだ。
目を細めて微笑みを浮かべる佐和さんの表情が好き。
両手を広げて私を受け入れてくれる佐和さん好き。
好きがたくさん過ぎて佐和さんしか見えなくなる。