勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「好きです。」
「知ってる。」
「大好きです。」
「知ってるよ。」
ぎゅうぎゅうと腕に力を入れて抱きつけば、額に触れる佐和さんの唇に体が熱くなった。
どんな時も冷静な佐和さん。
私ばっかり好きになってる気がする。
そんな風に思うと急に恥ずかしくなって佐和さんの胸に顔を埋めた。
「紫衣?」
不思議そうに私の名を呼ぶ佐和さん。
彼の声を聞いて益々恥ずかしさが増して顔があげられない。
「紫衣、顔を上げてくれないとキス出来ないよ?」
更に追い討ちをかけるような佐和さんの言葉に私は彼の背中に回した腕にぎゅうっと力を入れた。
いつも余裕たっぷりで彼の言葉は私をからかって楽しんでいるのか、それとも本気なのかわからない。
「紫衣?」
再度呼ばれて、きっと真っ赤な顔をしているに違いないと思いながらも佐和さんに言われるままに顔をあげると、
「そんな顔してるのに隠してたの?」
そう言って佐和さんはくすくすと笑った。
そんな顔って?
もしかしてすごく変な顔していたのかな?
私、今どんな顔してるの?
不安になってまた佐和さんの胸に顔を埋めようとしたけど、腰に回っていた佐和さんの手が素早く私の両頬を捉えて彼の顔が近づけられた。
そのまま彼の唇が到着するものだと瞳を閉じると、
「ふがっ…!!」
唇が触れると思っていたのに、鼻を摘まれていた。