勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
喉の奥でクツクツと音を立てながら笑う佐和さん悔しさを感じながら彼に視線を向けると彼は微笑みを浮かべていた。
「そんな顔で睨まれても全然迫力ないな…。
むしろ可愛くて仕方がないよ。」
「痛いじゃないですか。」
痛みで潤んだ瞳のまま佐和さんを睨みつけていたら、
「どんな紫衣も可愛くて仕方がない。
好きだよ。」
彼は反則過ぎる笑顔で私にサラリと言葉をかけた。
ドキリと波打つ心臓。
カッと頬が熱くなった。
だけどいつもいつも彼のペースでオタオタと翻弄されるのがちょっぴり悔しくて、
「もぅっ!知りません!」
ツンと彼から顔を逸らすと、
「可愛くて、理性を保つのに苦労してるのに煽る紫衣が悪い。」
佐和さんからはまた私が理解出来そうにない言葉が飛び出した。
「理性って保ってなきゃいけないんですか?
佐和さんは何を我慢してるの?」
彼が何かこの家に不都合を感じて我慢してるのなら快適に過ごせるようにするのが私の務めだよね?
「ちゃんと話して下さい。私に出来ることなら改善しますからっ。」
勢い勇んで彼に尋ねると彼はケラケラと声を立てて笑い出した。
何かおかしなこと言ったかしら?
ただ佐和さんには快適に過ごして欲しくて我慢の原因を尋ねただけだよ?
「どうして笑うんですか?」
すごくすごく悲しくなって、ションボリと肩を落としたまま尋ねると、
「紫衣が可愛くて仕方がないからだよ。」
そう言って佐和さんは私をギュッと抱きしめてくれた。
私は佐和さんの言葉や態度にいちいち一喜一憂させられてると思いながらも彼の居心地の良い腕に包まれると気持ちは上向きになり、
「大好きです。」
何度伝えても伝えても足りない言葉を口にした。
「俺も。」
素っ気ない言葉だけど佐和さんが私にきちんと応えてくれる。
「好き好き…大好き。」
彼の胸に頬を擦り寄せてギュッと抱きつけば彼は更に力を込めて私を抱き寄せてくれた。
苦しくて、だけどとても甘い彼の抱擁に私は酔いしれていた。