勝利の女神になりたいのッ!~第2部~


電話が切れてからもなかなか私の手から携帯を放すことは出来なかった。

通話のかわりに芽衣ちゃんから届くメールに返信するためにずっと携帯と睨み合う時間が過ぎていく。


その間も佐和さんはとっても不機嫌な声で嶋田さんと話をしていた。


最初はバームクーヘンのお礼だとか当たり障りない内容だった芽衣ちゃんからのメールは最後にはやっぱりな内容に変わって、


「佐和さんに愛されちゃった?」


芽衣ちゃんらしいストレートな文章が届いた。


愛されちゃったの意味がわからない程子供ではないけど、「まだ」って返信すれば期待してるみたいだし「ダメ」では彼女に心配を掛けてしまう。

そんな事を考えるとどんな風に返信すればいいのか悩んでしまい、そのまま携帯を放置する形になってしまっていた。


佐和さんに愛される。


考えたことない訳じゃない。


現にシャワーに乱入して佐和さんを困らせちゃったし...。


けど、佐和さんは違うっぽい。


私を困らせたり、からかったりしているだけで佐和さんはきっとまだそんな風に思ってくれてないんだって感じる。


私が子供だからかな?


ちゃんとしなくちゃって思えば思うほどどうしてだか私の行動は突拍子のないものになってしまうみたいで、佐和さんをその気にさせるどころか困らせてしまっている気がしてならない。






考えを巡らせているとさっきまで静かだった携帯がまた鳴った。











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