勝利の女神になりたいのッ!~第2部~


「まだっぽいね」


聞き方を変えてきた芽衣ちゃんに「うん」とだけ返して携帯を閉じる。


「まだ」と言っていいのだろうか...。


どんどん暗くなる思考をストップさせるためにまた携帯を開いて芽衣ちゃんに今度は私からメールの配信をした。


「さっき佐和さんがシャワーしてる所に乱入しちゃったけどダメだったよ(泣)」


少し冗談っぽく書いた文章は私の精一杯の強がり。


本当はとっても悲しかった。


お風呂で甘い雰囲気を作ろうなんて上級な行動を起こしちゃって、結果困らせちゃうなんて恥ずかしすぎるもの。


それに勢いで乱入したのに結局何も出来なくて、佐和さんに置いてかれちゃったしね。


「そっか、佐和さん野獣になりたくなかったんだろうね。」


芽衣ちゃんからの返信の意味がわからないまま


「佐和さんはいつも大人で紳士だから野獣なんてありえないよ。」


私は思うままに返信をした。


「紫衣がそんな風だから佐和さんも躊躇しちゃうんだよ。男の人はみんなどんなに優しい人でも野獣の部分を持っているんだからね。
好きだから野獣になるんだよ。
大人で紳士だなんて紫衣に思われてるから佐和さん困ってるんじゃないの?」


益々わからない内容の芽衣ちゃんのメールに首を傾げた。


佐和さんが野獣なんてありえない。


けどそう思う私の気持ちが佐和さんを困らせてる?


さっぱり理解できないよ。



頭の中が???で埋め尽くされてしまって芽衣ちゃんには悪いけど「もう寝ます。おやすみなさい。」と嘘のメールを打った。



携帯を閉じてからもずっと頭の中で想像を巡らせる佐和さんの野獣姿。



ダメダメ全く想像つかないよ...。















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