勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
溢れる涙を止められず彼の胸に飛び込むと背中に回された腕にギュッと強く抱きしめられた。
「紫衣は謝ることなんか何もしていないだろう?」
優しい佐和さんの声に益々自分が情けなくて涙は一向に止まってくれない。
「紫衣があんまり可愛い事ばかり言うから…。」
佐和さんの長い指が私の顎をくいっと持ち上げて彼と顔を合わせると熱い眼差しで佐和さんに見つめられていた。
ドクンと胸の奥が激しく脈打つ。
「佐和さ……フ…ンン…」
それでも彼に謝りたくて名を呼ぶといきなり彼の唇に塞がれ、長く苦しく、だけどとても幸せな口づけが降ってきた。
私の背中を抱く腕も頬に添えられた手も、いつもの佐和さんと少し違う。
口づけも…いつもよりずっとずっと激しくて…熱い…。
「フ…ん……ンン…」
声を漏らせば普段なら息継ぎの為に唇をほんの少し解放してくれる佐和さんが今日は私を放してくれない。
普段よりずっと高く感じる佐和さんの体の熱に私はすっぽりと覆われたまま口づけを受け止めていた。
長い長い口づけ、次第に薄れる記憶。
激しい口づけは苦しくて、だけどとても熱くて私を溶かしていく。
彼に溶け込むような感覚に襲われる。
彼をすごく近くに感じる。
そして立っていることもままならないくらいに体から力が抜けていった。
足に力が入らなくて膝がガクガクと震えだし、もたれ掛かるように佐和さんに体を預ければ触れていた唇が解放された。
そしてそのままベッドに組み敷かれた私の目の前には佐和さんの赤く紅潮した顔があり、恥ずかしさに視線を逸らした。
いつも余裕たっぷりな佐和さんが頬を染めてる。
それになんだか少し瞳がギラギラして見えるのはどうして?
一瞬だけ見た佐和さんの表情に私の胸は早鐘のように高鳴った。
「紫衣…。」
苦しそうに私の名を呼ぶ佐和さん。
私はまた何かしでかしちゃったのだろうか…。
また佐和さんを困らせちゃってるのだろうか…。
「好きです。」
不安になった心を鎮めたくて心のままに言葉を紡ぐと、ぐっと眉を寄せた佐和さんの眉間にしわが寄せられた。