勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
毎朝、早起きをして動きやすい小袖に着替える。
日常身につける着物は朝のこの行事が終わってから着替える。
けどそれは朝食とお見送りの時だけで、私は小袖で1日の大半を過ごしていた。
それも朱里さんはいい顔をしない。
「ご自分のお立場をわかってらっしゃいますか?」
丁寧な言葉はたっぷりと嫌味を含んでるからで、
「わかりたくもない。」
私はその言葉をバッサリと切るように言葉を放つ。
別に彼女を怒らせたい訳じゃない。
五助さんを困らせたい訳じゃない。
妻として、母として譲れない事があるだけ。
「紫衣様!」
「はい。」
「部屋に戻りましょうよ~、奥方様~。」
苛ついた朱里さんの声と五助さんの懇願する声。
だけど…
だけどっ!!
「ちゃんと終わらせたら部屋に戻ります。」
ここは折れちゃいけない。
だって私は三成の妻だし、重家の母なんだもん。
きゅっと拳を作って足を一歩前に出す。
「いけません!」
「奥方様~。」
だけど私はその扉をくぐる前にいつもいつも邪魔されるんだ。
「何をしている。」
淡々と紡がれるこの声に…。
そして軽々と抱き上げられ、強制的にその場から連れ去られる。
これも日常。
毎日繰り返される私の日常。