勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「そんなことっ!」
わかってるもん。
全部の言葉を言い切れない私。
だって自信なんて全くないもの…。
「今日から椿の特訓を受けて下さいね。」
「はい…。」
「猶予はないのですよ。」
「はい…。」
「それから言い忘れていましたがお忍びである方がいらっしゃいます。」
「ある方?」
「とても高貴なお方なので粗相は許されません。」
「………。」
「しっかりと学んで下さい。」
「……は…い…。」
「では朝餉に参りましょう。」
桔梗さんは話を終えて満足そうに微笑むと音もなくスッと立ち上がり襖を開けて私に手を差し伸べる。
朝餉の部屋まで手を引いてくれるんだね。
椿さんの特訓を受けるように言ってたけど、すでに特訓は始まってるんだね?
「お召し替えをしてから朝餉をすませていただきましょうか。」
手を引かれ連れてこられたのは私の部屋で、朱里さんが着替えを用意して待ってくれていた。
やっぱり特訓はもう始まってるんだ。
って事は…。
「三成様のお見送りは?」
「着替えを済ませたらすぐに…。」
「わかりました。」
朝餉は三成と一緒ではないんだ。
ちょっぴり寂しい。
朱里さんに着替えをさせられて、これから毎日特訓の日々なんだって急に現実味を帯びてきた。