勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
一日中椿さんと一緒に過ごして今はやっと自室に1人になった。
着物の裾捌き、歩き方、話し方、箸の上げ下ろしから、重家との接し方。
全てに椿さんチェックが入る。
ご飯は何を食べたかわからないくらいに緊張して味もわからなかったし、喉を通らなかった。
歩く度、動く度注意の声が飛んでくるから動くのも億劫だし…。
何より重家と遊ぶ時間まで椿さんは容赦がない。
「ホント無理だ…。」
明日からもこんな日々が続くのかと思うと憂鬱すぎてため息と一緒に言葉を吐き出した。
「今日は早く寝たい。」
ひとりごとを呟けば静まり返った部屋の静寂に吸い込まれような気がして寂しくなった。
三成は今日も帰りが遅いらしい。
仕事なんだから仕方がないって思うけど寂しいものは寂しい。
布団に入ってギュッと瞼を閉じた。
「おやすみなさい。」
返ってこないのを承知で言葉を落とす。
長くて苦しい一日の終わり。
こんな日は三成がとても恋しい。
三成のぬくもりを感じたい。
心が寂しさに侵食されていく。
「三成様…。」
彼の名を呼びながら私は眠りに落ちていった。