勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「もう最後の手段です。」
問題視されるのは私の性格で、どんなに作法を身につけても人間として私はこの時代の人と違うところがあるらしい。
それは私がこの厳しい時代で生まれ育ってないからだろう。
だってそうでしょう?
私は平和な21世紀、平成生まれなんだから。
刀でいつ切られるかわからないなんて危険を感じるなんてことはない。
銃刀法って法律があるんだよ?
きっと命の重みだって違うと思う。
それだけは私と時代のズレを埋めることは出来ない。
難しい顔をした椿さんがキッパリとした口調で放ったのは
「紫衣様はご挨拶以外は相槌だけで、喋ってはいけません。」
「なんでっ?!」
決定事項のようで、驚いて尋ねてもギロリと睨まれて椿さんの眼力に反論しようとは思えなかった。
というか、怖い…。
「どこか違うのです。」
「確かに違いますね。」
「甘チャンなんだよ。」
順に椿さん、桔梗さん、紅葉さんの言葉。
「もっとこう毅然とした強さが欲しいのです。」
「けれど姫様に強さを求めるのは無理ではありませんか?」
「無理だな…。」
私を目の前に3人は会話を進めるけれど、何気に傷つくよ?
「紫衣様ですからね。」
「姫様だからね。」
「阿呆紫衣だからな。」
ぽつりぽつりと言葉を零した後3人は示し合わしたように同時にため息を吐き出した。
息がぴったり。
っていうか失礼じゃない?
黙って聞いてたら好き勝手言い過ぎなんじゃないの?
「そんなに駄目かなぁ?」
悔し紛れにひとりごとを呟く。
何気にちょっぴり傷つくよ?
だけど毅然とした強さなんて実際持ち合わせていないとは思うから反論なんて出来ない。
がっくりと肩を落とす私の前にスッと伸ばされた手が視界に飛び込んできて、
「何?」
不思議に思った私は視線を手の主に向けた。
「お慕いしております姫様。」