勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「抜け駆けとは穏やかじゃないですね。」
急に意味不明な言葉を告げるのは桔梗さんで、その桔梗さんの手を払いのけながら椿さんも私に近づいてきた。
同じ顔した二人が私を挟んで睨み合うっていったいどうしちゃったの?
「姫様、ずっとお慕いしておりました。」
戸惑う私の手を取って桔梗さんは私の手を、その大きな両の掌で包み込む。
「私も桔梗には負けないくらいに紫衣様を大切に思っています。」
椿さんも私の手を取って熱い眼差しを向けたまま話しかけてくる。
って…
いったいどうしちゃったのぉ?
「姫様。」
「紫衣様。」
艶のある甘い声で呼びかけられドキドキと鼓動が激しくなる。
なんでこんなことになっちゃってるの?
いったい何がおきてるの?
困惑したまま紅葉さんに助けを求めようと視線をむけると紅葉さんは私からあからさまに視線を逸らせて部屋を出て行った。
って!!
なんで??
阿呆紫衣、何本気にしてんだよって意地悪く笑うところじゃないの?
これってもしかして非常事態?
オロオロとする私の手をギュッと握り締める2人。
桔梗さんと椿さんの熱い視線を感じて恥ずかしさに顔が熱くなる。
どどどど…どうしよう。
振り払うなんて失礼だよね?
けど、こんなの絶対マズいよね?
三成に知られちゃったら桔梗さんも椿さんもどうなっちゃうの?
怒られちゃう?
怒られちゃうよね?
ダメダメ!
こんなの絶対に…
「ダメ――ッ!!」