勝利の女神になりたいのッ!~第2部~


その日は自室から一歩も出ずに過ごした。


自室に入るのも朱里さんだけにしてもらって、重家と2人ゆったりと過ごした。


しばらく桔梗さん達の姿を見たくない。


話だってしたくない。


そう思っていたのに、こんな時に限って三成が早く帰ってきた。


「紫衣様、殿がお帰りになりました。」


襖越しに掛けられたのは椿さんの声。


「わかりました。」


私は静かに言葉をかけて重家を抱き上げた。


いつもなら着物の裾を気にしなくては歩けないので重家を抱いたまま歩くことはない。


だけど桔梗さんにも椿さんにも紅葉さんにも助けとなんて欲しくない。


こんな時に限って朱里さんはいないし…。


私は重家を抱いたまま三成を向かえるために廊下を歩いた。


部屋をでてすぐ両手を広げて重家を受け取ろうとする椿さんは視界に入れず廊下をスルスルと滑るように歩いた。


初めてだけどやれば出来るじゃない。


助けてもらわなくても私1人で充分なのよ。


ちょっぴり勝ち誇った気分で気持ちが晴れやかになっていた。


ざまーみろっ!


そんな風にも思って心の中で舌をペロリと出していた。


あんな酷い試し方をした3人を当分許してやらないって思ってた。


3人が大好きな重家だってしばらくは彼らに近づけないって意地悪まで考えていた。


だけど、私は彼らをすぐに許すことになったんだ。


彼らは私や三成の為にとてもよくしてくれていると、彼らの行動の深い意味を知って私は彼らに感謝しなければいけないと思い知ったんだ。









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