勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
三成のお出迎えがすみ、彼の自室で重家と3人親子だけの時間を久し振りに持てた。
「紫衣はまだしごかれているのか?」
「いいえ、もうおしまいです。」
「何かあったのか?」
「なにもありませんよ。」
「嘘をついてもわかるのだよ?」
「…!!」
口の端をほんの少しだけ持ち上げて微笑む三成と視線が絡んだ。
全てお見通しだと言いたそうな三成の瞳。
「話せぬのか?」
三成に問われて私はふるふると首を横に振った。
満足げに微笑む三成。
私は今日あった事を渋々ながら簡単に話をした。
話を終えて俯く私の腕を掴みグイッと引っ張る三成。
「うひゃっ。」
急に引っ張られて私はそのまま体を傾かせ着地したのは三成の腕の中。
「それで部屋から出なかったのか。」
三成は私の背中を優しくさすりながら話しかけてきた。
大きくて暖かい掌が背中をするすると上下する。
そのぬくもりに心が柔らかくなっていくような気がした。
「少し悪ふざけがすぎたようだな。」
私を抱きしめたまま三成は襖に向かって言葉を投げかけた。
その様子をきょとんと首を傾げて見ている私の耳元に触れそうなくらいに唇を近づけて三成は小さく囁いた。
「気にしているのであろうな。
様子を伺っているぞ。」
そして私をもう一度ギュッと抱きしめた後体を離して私を正面から見つめた。
襖の向こうに誰かいるの?
桔梗さん?
椿さん?
紅葉さん?
それとも3人一緒?
少しは気に掛けてくれてるの?
だけど、そぅ簡単には許す気にはなれそうにない…。