勝利の女神になりたいのッ!~第2部~


ぐぐっと眉間にしわが寄った。


その様子を正面から見ている三成はククッと喉の奥で音を立てながら笑いを洩らす。


「機嫌はすこぶる悪いようだぞ。」


とても楽しそうに襖に向かって声を掛ける三成。

どうしてそんなに愉快そうにしているのか意味がわからない私は更に眉間のしわが深くなる。


全然楽しくなんてないっ!

楽しいどころかまた思い出しちゃって不愉快なんですけど!


楽しそうに顔を綻ばせる三成にもなんだかちょっぴり腹が立ってきた。


ぐっと眉を寄せて三成を見ていると、


「怒りの矛先が俺に向いてきたようだ。」


また襖に向かって三成は声を掛けた。


八つ当たりだってわかっていても三成があんまり楽しそうにしているからふつふつと怒りが込み上げてくるのを抑えられない。


なんだか本当に全てに腹立たしさが募る。


「い゛――っ!!」


三成と襖を交互に睨みつける私の耳に声になってない掠れた叫び声が響いた。


なに?


びくりと体を跳ねさせる私。


その横ではくすくすと笑い声を立てている三成。

なにがあったの?


「失礼しますよ。」


スパンッと勢いよく開いた襖。


視界に飛び込んできたのは朱里さんに耳を引っ張られている左近さん?


「い゛だだだだ…。」


耳を指で摘まれたまま左近さんは悲痛な声を上げながら朱里さんに連れられて私の前に座らされた。


「朱里さん?」


戸惑いながら声を上げる私をちらりと横目て見た後左近さんの頭をポカリと拳で殴って深く頭を下げた。


「い゛――っ!」


奇声を上げながらも朱里さんに頭を抑えられ左近さんも同じように床に額がつくんじゃないかってくらい深く頭を下げる。

「申し訳ございません。」

そしてそのままの姿勢で朱里さんは何故か私に謝罪の言葉を述べていた。

って…――

何?

何が始まったの?







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