勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「今日は私が目を放した隙に…。
紅葉と桔梗と椿が紫衣様を怒らせたとか…。」


恐る恐るという雰囲気でゆっくりと話す朱里さん。


何も応えない私に変わって三成がさっきまでの楽しそうな雰囲気をガラリと変えて応えた。


「3人は今どこにいるのだ?」


「はい、それが…。
3人とも今は屋敷にはいません。」


「どこかへ出掛けたのか?」


「いえ…。それが…。」

「なんだ?
ハッキリと言うてみろ。」


「……………はい。
3人は屋敷を出て城に向かうと…。」


朱里さんの声に胸がとくんと音を立てた。


何かの用事で出掛けたの?

お城に?


宴で忙しいのに?


「どうしてっ?」


気がついたら朱里さんに詰め寄る形で私は言葉を発していた。


「紫衣、どうしたというのだ。
落ち着け!」


朱里さんの着物の袖を引っ張る私の手を掴んで朱里さんから離された私。

だって…。

私が怒ったりしたから…

私が原因だったら…

私のせいで3人が城に帰っちゃうなんてことないよね?

そんな事で出てったりしないよね?


「どこに行っちゃったの?
帰ってくるよね?
ちゃんと帰ってくるよね?」


私どうしちゃったんだろ…。

すっごく怒ってたんだよ。
絶対に許さないって思ってたんだよ。


だけど…。


「紅葉さん達がいなくなるのは嫌っ!」


気がつけば三成の腕の中で彼にしがみついてポロポロと涙が零れた。


「落ち着け。」


ゆるゆると三成に背中をさすられて、だけど涙は止まらない。


「怒っていたのではないのか?」


「怒ってる。」


「3人に逢いたくないから部屋から出なかったのだろう?」


「だけど側にいてくれなきゃ嫌なの…。」


「嫌っていたのではないのか?」


三成の言葉にハッとして顔を上げた。







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