勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
彼に嘘はつけなくて、正直に応える私。
ガッカリした?
はしたない女だって思われちゃった?
私の言葉を聞いて何も言わない三成。
すぐに反応が返ってこないことに私の心に恐怖心が広がった。
「良君とやらか?」
ふいに落とされた言葉は信じられない言葉で、
「どうして?」
なぜ良君の名を知っているの?
「清正が来た夜、紫衣はうなされて良君とやらを何度も呼んでいた。」
「嘘ッ!」
良君にそっくりだった清正。
あの夜、私は良君の夢を見たのだろうか…。
何も覚えていない。
「良君とやらが忘れられないのか?」
厳しい口調の三成に私は言葉をつまらせた。
「どうなのだ!」
大きく肩が揺れて、私は首を横にふるふると何度も振った。
良君の事は忘れた。
心にいるのは三成だけ。
だけど清正を見てから胸が騒ぐんだ。
良君が好きとかそういう感情ではなくて…
恐怖。
ずっとそのわからない恐怖に怯えている。