勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
ギロリと左近さんを睨みつける朱里さん。
さっきからずっと朱里さんは左近さんの耳を引っ張り続けている。
最初は痛いと声を出していた左近さんも今は耐えながらやられっぱなし状態で、瞳にはうっすらと涙が滲んでる?
「どうして?
どうして3人にあんなことをさせたのですか?」
怒りは治まってなんかないけど、左近さんの情けない姿を見ると強くも言えなくて冷静に言葉を選んで尋ねた。
それに左近さんのこんな姿はとても珍しいよね?
だって御家老様だよ?
一応私の親代わりとして一緒に暮らした事もあるし色々親切に教わったりしたから、私と左近さんは仰々しいつき合いではないけれど…。
屋敷に来てからは左近さんとは顔を合わすことはあっても親しく会話をする時間なんてなかったから威厳ある御家老様な左近さんの顔ばかり目にしていた。
「ねぇ、どうして?
ちゃんとした理由なしにあんなことさせないでしょう?」
「それが…その…。」
歯切れの悪い左近さんにちょっぴり苛立つ私。
「はっきり言ってもらわなきゃわかりません!」
ビシッと言い放つと左近さんは三成を見つめた。
「紫衣、俺から話そう。」
三成は左近さんに助け船を出すべく話を切り出した。