勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
三成の話は私が紅葉さん達に言われた危機感の違いについてだった。
やはり時代が違うからどうしても私に隙があるようで、
「優しさが仇となす場合もあるやもしれん。」
三成の話はそんな風に締めくくられた。
けどっ!
だけど、そんな私の性質はわかっていてくれたんじゃないの?
なのに試すような事をしてまでいったい何を確かめたかったの?
訝しげにわざと顔を歪ませて三成をジッと見つめる。
そんな私に三成は困ったように眉をハの字に下げた。
困らせたいんじゃないの。
ただ納得のいく応えが聞けないことに寂しい気持ちになってしまう。
「私はどんな風に振る舞えばいいのですか?
何を身につければ皆に安心してもらえるのですか?」
さっぱりわからない。
だって振る舞いや習慣の違いを埋めるために特訓してきたんでしょ?
それはちゃんと合格点をもらったはず…。
「殿、紫衣に隠さず全てお話された方がよいのでは…。」
「……………。」
私の問いかけにも、左近さんの言葉にも無言の三成。
「あー焦れったい!」
私達3人が言葉を失ったまま沈黙が広がる部屋に朱里さんの叫び声が響いた。
「もうお二人とも部屋を出て下さいな。」
なんだか苛々した様子の朱里さんは三成と左近さんを部屋から追い出そうとする。
「朱里!」
そんな朱里さんを止めようとして彼女の名を呼ぶ左近さんの声は大きくて驚いた私は肩がぴくんと跳ね上がった。
「なんと言われても私が説明し、紫衣様に納得して頂きます。」
だから2人にして下さいなって言いながら朱里さんは左近さんではなく三成を見つめていた。
2人がずっとお互いを見つめ合う姿はとてもピリピリとしていて私も緊張して体に力が入る。