勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
愛しいと思う気持ちがあるからこそ授かったときの喜びは大きい。
愛してるから結ばれるんじゃないの?
世継ぎだとか…。
いったい女をなんと考えてるんだろう。
「朱里さん!」
「はいっ!」
「愛してもいない人の子を産みたいと思う?」
「いえ…それは…」
私の勢いに圧されている朱里さん。
さっきとは立場が逆転した。
「私は三成様以外の殿方を受け入れはしません。ましてや子を産むなんて絶対に嫌っ!」
「はいっ。」
「だからこのお話はもう終わりにしてもいいかしら?」
「はいっ。」
不愉快な話をピシャリと終わらせて私はかなり満足していた。
すると襖が開いて手を叩きながら左近さんが部屋に入ってきた。
「見事でしたよ。」
朱里さんの隣にドッカリと腰をおろした左近さん。
ニッコリと笑いながら言葉を掛けてくれる。
「もしかして…心配事って?
毅然としていないって叱られてたのって…このことなのぉ?」
驚く私に左近さんはニコニコと笑顔のまま応えてくれる。
「そうですよ?
それ以外に何かあるのですか?」
こんなことを確かめるために3人にあんな芝居を打たせたの?
私を試したの?
「左近さん!」
「なんですか?」
「謝って下さい!」
「はっ!申し訳ありませんでした。」
私の言葉を聞いて深く頭を下げ謝ってくれる左近さん。
って…違うぅぅっ!
「私にではなく3人にです!
くだらない演技をさせられた紅葉さん達に謝って下さい!」
だってそうじゃない。
あまりにも気の毒すぎる。
っていうか私だって何も知らなかったからでは済ますつもりはない。
態度が悪かったことも誤解していたのだと正直に謝ろう。
謝って許してもらおう。