勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
どのくらい静寂に包まれていたのかわからない。
だけどそれ程時間がたったという感覚はなかった。
「失礼しますよ。」
いつも通り気さくに声を掛けて部屋に入ってくるのは朱里さんで、お茶とお菓子が運ばれてきた。
朱里さんは2人でお菓子を食べるときは城にいた頃と同じ様に接してくれる。
「紫衣の好きな花饅頭ですよ。」
紫衣様ではなく紫衣と呼んでにっこりと微笑む朱里さん。
「調度甘いものが食べたかったの。」
私の前に出された花饅頭に視線を落として応えると朱里さんの笑みが深くなった。
そしてお菓子の膳を全て置いて朱里さんが左近さんの隣に座ったと同時にまた襖が開いて入ってきたのは三成を先頭に紅葉さん、桔梗さん、椿さんだった。
薬草取りを中断して急いで戻ってきたのか、それとも調度戻ってきたところだったのか、3人の着物は少し汚れていた。
三成は私の隣に、紅葉さん達3人は左近さんと朱里さんの後ろに座った。
「俺は部屋にいない方が話しやすいか?」
誰もが口を噤んでいるのが気になったのか三成が静寂を破った。
それに私は何も応えなかった。
私の応えがもしも皆と違っていても優先されるのは私の意見だから。
花饅頭を食べながらお茶を啜って皆の意見を待った。
だけど誰も何も言わずに俯いたままで、やっぱり私を優先してくれているようだ。
だから
「紅葉さんはどう思うの?」
一番年齢の低い紅葉さんに聞いてみた。