勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
溢れる涙を止めることが出来なくて、だけど嬉しくて笑みが零れる。
芽衣ちゃんも泣き笑いをしながら嶋田さんに甘えるように彼女を包み込むように回された腕に頬を寄せる。
その姿も私と同じで、お互いを見つめながらまた笑った。
「似た者同士っていうか似すぎじゃねぇ?」
「行動パターンまで同じだな。」
そんな私達を抱きしめながら佐和さんと嶋田さんも笑っていた。
寂しいなんて思ってごめんね。
みんなも同じ気持ちなんだよね?
お兄ちゃんと紫衣を応援してる気持ちはみんな同じなんだよね?
だからこの旅行も計画してくれたんだもんね。
言葉に出来ない気持ちは心の中でだけで呟いた。
言葉にしなくてもわかり合える。
同じ気持ちの私達に必要以上の言葉はいらないよね?
「ありがとう。」
だけど、この言葉は伝えておきたい。
何度口にしても足りないって思うから…
それからは公園のベンチで関ヶ原の合戦について4人で話をした。
「紫衣は未来だと言ったけど、実際今の俺達の時代からはやっぱり過去の出来事には違いないんだ。」
「おいおい、蒸し返すのか?」
とても丁寧に話を進めようとしてくれる佐和さんに私を気遣ってくれているのか、それを茶化す嶋田さん。
「紫衣の願いはよくわかってるつもりだ。
それに勉強したんだろ?歴史として受け止めたんだろ?」
「はい。」
「なら聞かせて欲しい。西軍には何が足りなかった?」
西軍敗退の原因。
私の感じたことを素直に口にした。
「悔しいけど、政治力…それがお兄ちゃんにはなかったって感じたの。」
乱世を息抜き、ずっと我慢してきた徳川家康。
彼の経験や知識、そして人望に負けた。
「それは私も思った。
家康には、なんていうか…カリスマ性?があるような気がするの。」
カリスマ…。
人を魅了し心服させる能力。
「うん、それが足りなかったと思ったの。」
芽衣ちゃんの言葉は私の言いたいことを纏めてくれていた。
だから彼女の言葉に同意して私は頷いた。