勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「たった8年しか存在しなかったんだよ。」
「関白様の邸宅なのに?」
「1586年(天正14年)2月に着工され、翌1587年(天正15年)9月に完成したって言われている。
九州征伐を終えた秀吉が大坂より移り、ここで政務をみたそうだ。」
その後は1591年(天正19年)12月に秀吉が関白職を甥の豊臣秀次に譲ったあとは、聚楽第も秀次の居城となり、1595年(文禄4年)7月に秀次を和歌山県の高野山(こうやさん)に追放して切腹させ、秀次の居城だった聚楽第も翌8月以降、徹底的に破却した。
金箔の張られた瓦屋根など贅を尽くした建物を簡単に建て、壊してしまう。
あの時代、貧しい暮らしをしていた私に想像はつかない行動だと感じた。
「私には理解出来ない感覚です。」
だから、口から出てきた言葉はちょっぴり棘を含んでいたものだった。
「確かにそうだよな。
だけど…
だから秀次の失脚は三成が影で彼を陥れたと言われている歴史が間違っていると俺は思えるんだ。」
「それは何故?」
「秀吉は秀次を失脚させ、切腹までさせる理由がなかったんだよ。」
「??」
「あくまでも俺の主観だけど秀次の存在を全て壊して隠したかったんじゃないかと思うんだ。」
秀頼の為にねと続く言葉で私は佐和さんの言いたいことがやっとわかった。
「だから秀次失脚の黒幕のように言われている三成は白。
そう思っている。
確かめられないけどな。」
ニッコリと微笑みながら話してくれる佐和さん。
私も佐和さんと同じ思いなので頷き微笑み返した。