勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
重い空気のまま二人だけで車に乗り込む不安が私の行動にストップを掛けてしまう。
だけど、そんな私の躊躇する心を知ってか知らずか、
「早く乗れ!」
佐和さんの苛ついた声が飛んできた。
びくりと跳ねる心臓。
普段とても優しい佐和さんをこんなにも怒らせてしまった原因はきっと私だ。
だって2人だけで話をしていた途中で急に不機嫌になったんだもの。
私が何かしちゃったに違いない。
震える手でドアを開け、助手席に乗り込む私の腕を掴み、グイッと引き上げるようにして席に座らせると、
「早くドアを閉めてシートベルトつけろ!」
また激しい口調が飛んできて、私がドアを閉めると同時に車は急発進した。
勢い良く発進した車の振動にシートベルトをつけることも忘れてぼんやりしている私に佐和さんの声が飛んできて、
「シートベルト!」
「はい!!」
私は慌ててシートベルトを掴んでカチリと止めた。
そのまま普段は絶対にしないような荒い運転のまま走り続ける佐和さん。
もう怖くて佐和さんの顔の表情を伺い見ることも出来ず、ずっと俯いたまま車の振動に耐えた。
こんなにも激しい佐和さんを見るのは初めて。
その原因が私だと思うとギュッと胸が苦しくなる。
だけどわからない…。
わからないよ…。
どうしてこんな風になっちゃったのか…
わかんないよ――…。